レウナから見る旧時代の科学力や世界観など
追憶のシドに登場する旧時代の科学者にしてEXA-DBの管理人レウナ・イナーシュ。
AGE作品では唯一失われた時代を知る人物だ。そこで漫画内での行動や発言から
旧時代がどんな世界だったかを考えてみる。
コミックスの設定資料によれば彼女の父親エドルも科学者であり、当時の連邦軍
に所属していたようだ。地球最高の頭脳と呼ばれるほどの存在だったらしいが、
火星移住計画「マーズバースデイ」への関与は不明。コピー人格やレウナの言動
等を見る限りは、二人がいた時代より後に火星移住があったと推測できる。
エドルは銀の杯条約によって、科学の結晶であるEXA-DBを棄てなければならない
事を拒み、隠匿する決断をした。彼の言動から銀の杯条約が施行された当時、まだ
地球圏はいざこざが残っていた様子。長い歳月を掛けて軍縮を進め、軍備の完全
撤廃に漕ぎ着けたようだ。
なおレウナはAGE2を目撃してもマッドーナのような反応を示さず、ウィービックに
これが"ガンダム"であると説明を受けても「かっこいい」程度の感想しか見せな
かった。そのため彼女が生まれた本来の時代は旧国家戦争時代より後であり、ある
程度の歳月が過ぎている模様。その上で戦争を終結に導いたという救世主ガンダム
という話の認知度はこの当時低かったようだ。この辺りは歳月の積み重ねと共に
話が膨張されたり、伝聞である程度変異したのかもしれない。
科学者であるレウナ自身もその能力は相当なものであり。バロノークの五重のパス
ワードで守られた電子錠をあっさり解除したり、過去にはEXA-DB守護を目的とした
無人MSシドの開発にも携わっていたという。彼女とEXA-DBがいた小惑星A310の設備
は連邦の衛星をハッキングできる能力を持っている一方、防衛面はシドを配置する
以外はたいしたセキュリティがなかったようで、何者かにハッキングされてデータ
の一部が盗まれたという話がある。これがイゼルカントなのかは不明で、アニメ
本編ではEXA-DBサブユニットなる名称だったので第三者の可能性も無くはない。
レウナがGサイフォスの操縦に取り組むシーンから見ると、旧時代と現代のMS操縦
システムは違う方式らしく、やや混乱していた。旧国家戦争時代に数百の無人機を
操ったという話や、シドが思考でコントロールできる事から。旧時代の操縦方法は
操縦桿やボタンなどの原始的な方法ではなく。ビットやCファンネルのように操縦者
の意思を読み取らせ、ダイレクトに操作する方式だったのかもしれない。
彼女が開発に携わったシドに関しては、漫画内で明らかになった能力だけでも当時
の科学力が現代を遥かに上回る事を証明している。一世紀単位での自立稼働、自己
修復、自己改造、子機の量産能力、物体の分解・再構築能力(?)、防御層(バリア)
の展開能力。「見えざる傘」とMS本体に付加されたレーダー無効化能力。人間の人格
をコピーし、コンピュータ上で再現する技術など様々なものがあった。ただしアニメ
で登場したシドはモノアイやビームの色などが違うため能力には差異があるようだ。
小説版は漫画版に準拠した方で、より連邦・ヴェイガン、人類共通の脅威としてその
性能は引き上げられている。
(ワームホールを利用したワープ航法を行っている描写あり)
恐らく過去の時代はこんな流れだったのだろう。
年 | 出来事 |
---|---|
??? | 旧国家戦争終結 |
??? | 銀の杯条約締結により、軍備の完全撤廃を目指し軍縮が始まる。 これに関連して科学技術の結晶であるEXA-DBの破棄も決まる。 連邦軍科学者エドル・イナーシュはEXA-DBの秘匿を決意。娘と共に保管作業を始める。 |
??? | 小惑星A310にEXA-DBを移設、平行してバックアップであるサブユニットを複数地域に隠す。 さらに護衛として無人MSシドを開発、配備する。 管理者としてレウナがコールドスリープ装置に入る。 |
??? | 銀の杯条約により軍縮が進む一方、EXA-DBを破棄するなど事実上の焚書行為により 科学技術の衰退が始まる |
??? | 地球圏の人口増加、資源枯渇問題が深刻化。 解決策として火星移住計画マーズバースディが立案、実行される。 16基のコロニーを建造、先行移住を開始。しかし未知の死病マーズレイによって火星移住失敗、 連邦は火星圏より撤退する。(AG115年より150年前) |
A.G.0年 | 何らかの理由により改暦。(旧国家戦争で荒廃した地球環境の復興に目処がついたため?) |
A.G.84年 | イゼルカント、地球圏の調査でEXA-DBサブユニットを入手する。 |
A.G.101年 | UE(ヴェイガン)による天使の落日発生。連邦は再軍備を始める。 |
A.G.151年 | コールドスリープからレウナが目覚める |
A.G.167年 | キオ、FXの試験飛行中に第二のシドと遭遇。これを撃破する |
※マーズバースディに用いられた連邦政府の艦船は、ダーウィン級を
非武装化し、MS格納庫を排除した上で双胴艦から単胴艦に再設計した
形状と言える。逆に再建された連邦軍はこの艦艇に武装を施し、MS運用
能力を付加したとも言える。この名称不明艦はダーウィン級が装備する
ミサイル発射管と同様のものが見えるため、MS戦力こそ持たないものの。
航路警備やデブリ破壊などを想定し、必要最低限の武装は有していたの
かもしれない。
※イゼルカントがどのような手段でEXA-DBサブユニットを入手したのかは
不明だが、護衛のシドに関する情報は非常に不鮮明であり。レイルが
説明する限りは噂レベルに留まっていた。そして当時のヴェイガンが
たいした軍備を持たない事から、真正面からシドを打ち破った上でサブ
ユニットを入手したわけではないだろう。恐らくここのシドは何らかの
トラブルによって機能を停止していたため、妨害を受けなかっただけと
推測される。発見の経緯にしても、地球圏調査のため隠れ家を探してい
る際に偶然見つけただけかもしれない。
※宇宙要塞アンバットのドックは非常に狭く。現連邦軍の主力艦であった
ダーウィン級宇宙戦艦が利用できない形状になっている。ただし火星圏に
派遣された旧時代の艦船は、その形状から問題なく利用できると思われる。
これらからこの要塞が建設された時代は相当昔であると伺える。
※漫画版のシドはいつの間にかモノアイが赤から緑に変更されている。
これが設定変更なのか、状況の推移によるものかは不明。
※銀の杯条約による軍縮に絡み科学技術の衰退が発生し、これによって
旧国家戦争からの復興で発生した人口増加問題への対応能力を失い。
火星移住計画では死病対策に失敗して火星から撤退する遠因になった
ようにも見える。
※A310とアニメに登場した小惑星は規模や内部構造から別物と判断できる。
※EXA-DBをハッキングした者は不明となっているが、イゼルカントが
サブユニットを入手した事実があるので、それを経由してアクセスした
可能性がある。ただしサブユニットは偶然拾ったに過ぎず、正規のライ
センスを持たない以上、どこかの段階で不正アクセスと判断されて回線を
遮断されたというオチなのかもしれない。そのためデータの一部が流出し、
イゼルカントは全データを手中に収めるべく、残されたコードを元に
捜索隊を派遣していたのかもしれない。
※アニメ(+MSV)と外伝漫画で登場したシドは二機〜三機となる。
【関連記事】
ヴェイガンのコードとEXA-DBサブユニットに関連はあるのか
http://d.hatena.ne.jp/UN64_RGB/20130224/1361718367