失敗する運命だったエデン計画

人類抹殺を目論んだイゼルカントであったが
それは致死率の高いウイルスが人間社会で猛威
を振るったり、ガン細胞のように人体を蝕む
存在であったとも見ることができる。
(人類社会が患った病か)

しかして、そうなれば死の恐怖に晒された
人々は抵抗を始めるのが道理だ。ただ座して
死を待つ。ということはそうそう無い。
イゼルカントが生涯を掛けてエデン計画に
費やしたように、人々もまた死と戦うだろう。

有史以来、人類は天災や飢饉、未知の疫病に
よって度々危機に晒されてきた。しかしそれが
原因で滅びることは無く、数々の危機を乗り越え
今日に至っている。

今回の戦争も過去の出来事と同様、人類はこの
脅威に屈することなく乗り越えた。これまでが
そうであったように、今回もまた耐えたのだ。

一人の独裁者が目論んだ悪事としてはAG史上最大
かもしれないが、それでもこれは表向き一世紀ほど
続いた戦争であり。内容にしても大規模戦闘が
恒常的に続いていたと言うよりは、小規模な衝突
が散発的に起きていた程度に見える。

これは歴史上(AG世界)の出来事と比較しても決して
突出する事はなく、むしろ埋没するものだったかも
しれない。
(なにせ過去には旧国家戦争があったのだから)

イゼルカントの野望に立ち向かったのがブルーザー
司令率いるアリンストン基地の兵士達やフリット
あったり、海賊を結成して第三勢力として独自行動
に出たアングラッゾ達であった。

例え彼らがいなくとも、決して立ち向かう者達が
途絶える事は無い。連邦側で動く者がいるならば
当然ヴェイガン側にも同じ事が起きる。最終決戦
でザナルドが裏切った件はその予兆だ。

世の中が一個人の思い通りに動かないのは当然だし、
強要すれば周りから反発を受けるのは必至である。
(この点では晩年のフリットも同じである)

それまでどうにか民衆の支持を集める首領を演じ続けた
が、マーズレイによる死が迫り事を急いだ結果。部下
が指示を聞かなくなり、軍の指揮系統が崩壊した。
これは彼が万人の運命を操り、新人類を作り出す神ではなく、
ただの人間であったという証左なんだろう。
(かつてキオには完璧な軍隊と豪語していたがあっさり崩壊した)