マーズレイによる火星移住失敗、そして地球圏の終焉

 マーズレイ、そして火星特有の殺人的磁気嵐は
 いつ頃人類に認識されたのだろうか?
 劇中の会話内容から、事前調査では発見されず。
 実際に第一陣が住み着いてから発覚したようだ。
 そもそも現在でも火星へ無人探査機が送り込まれ、
 生命の痕跡が無いかなど長期的に色々と調査され
 ている。この段階で検知されなかったという事は
 それまで火星に存在しなかった自然現象か、それ
 とも数百年周期で発生する何かという事なのだろう。

 ここからはちょっとばかし前者だった場合の推測に
 なる。

 火星に存在しない現象が後から発生したとなると、
 その引き金となり得るのは天体衝突。隕石の衝突だろう。
 莫大な質量を持つ小惑星が大量落下する事により、
 マグマオーシャンを形成する。火星の急激な温暖化は
 地下に眠る永久氷河を溶かし、豊富な水を解き放つことに
 事となる。その水が大規模なウラン鉱床に行き着き
 天然原子炉を形成、核分裂が自然進行する中、隕石の
 落下で大気圏外へ吹き飛ばされる。このため火星圏は
 高濃度の放射性ガスによって包まれ、逃げ遅れた人々は
 不治の病である遺伝病マーズレイに取り付かれる事と
 なった。この一連の光景は強力な閃光となり、火星は
 もとより遠い地球圏でも観測された。これが最初の
 マーズレイとなる。
 (現在では放射性ガスの除去が進んでいるが、第一世代が
 受けた遺伝病は今の世代でも完治されていない)

 地球連邦は火星圏の汚染から救助を断念、撤退を決定する。
 これ以降、人類は火星を禁断の星として忌避するように
 なり活動圏が縮小。宇宙開発事業が大きく後退する。
 地球からの観測が容易でも、公的機関や民間で誰も
 火星の島三号型コロニーに気付かなかった。あるいは
 関心を持たなかった理由はこれだろう。そもそもあれが
 過去の事故で放棄されたモノとみなされ、今では機械
 による保守装置がひたすら動いているだけと思い込まれ
 ていた。

 火星へ大量の隕石群が落下した結果、大規模な地殻変動
 やプレート活動の活性化が始まり、磁性変動が始まる。
 これは強力な磁気嵐となって火星圏を暴れ狂い、移住者達を
 苦しめることになる。これが現在のマーズレイ。
 惑星レベルの磁性変動を今だかつて人類が経験したことは
 なく、装備不足の火星移住者達にとっては対応する手立ての
 無い自然災害として耐えるしかなかった。
 (現在でも太陽風との衝突でオーロラ現象が発生し、火星は
  時折光っている)

 火星移住失敗は連邦の人口・資源対策の行き詰まりを意味し、
 加盟国の対立が激化。連邦は崩壊し最後のコロニー国家戦争
 が始まる。

 巨大隕石群の衝突は火星の公転軌道を歪ませ、その影響は
 隣接する他の惑星にも波及した。地球圏ではラグランジュ
 ポイント(以下L点)の崩壊と再構築に至り、ここへ係留された
 多くのコロニーが悲劇的な最後を迎えることになった。
 安定軌道を外れたコロニー群は互いに衝突して砕け、多くの
 破片となって地球圏をさ迷った。比較的損傷の軽微なものも
 あったが、これらの多くは最終的に地球か月の引力に捕まり
 落下した。地球は宇宙から降り注ぐコロニー群や資源衛星
 によって完膚なきまでに破壊されつくし、死の星となる。
 落着によって大量の土砂などが上空へ巻き上げられ、地球は
 核の冬に突入。この大災厄により地球圏の人口は激減、多く
 の地上・コロニー国家諸国が滅亡に追いやられ、人類存亡の
 危機に陥る。

 この地獄を生き残ったのは宇宙の月面基地か、コロニーから
 脱出できた僅かな船、そして外洋航海中(作戦行動中)だった
 軍の艦隊だけであった。文明崩壊に匹敵する大災厄を目の当
 たりにした生存者達に戦争を続ける機運はもはや無く、自然
 と生き延びるために協力し合うことになった。臨時政府は
 終戦協定を結び。連邦の再構築が始まる。この時に軍備の
 封印、廃棄を目的とした銀の杯条約が締結される。このような
 経緯から現在の連邦は非常に揉め事を嫌う体質を持っている。
 (L点崩壊の原因は解明されておらず、戦争が原因と見られている)

 地球圏の大破壊は機械文明を葬り去る一歩手前にまで及び、
 多くの技術やそれを扱える技術者、知識人を失った。一方で
 それを書き記したデータはデジタル化の恩恵から生き残って
 おり、これらを集約して巨大データベースに保管する計画が
 立ち上がる。それが後にEXA-DBと呼ばれる"お宝"となる。
 後の地球連邦首都ブルーシアは"この青い星を共有する"という
 言葉が変異したモノ(凄いこじ付けだが…)
 現存するファーデーン型のコロニーは当時奇跡的に破壊を
 免れたものか、直後に再建されたものと考えられる。
 居住スペースの問題から、ザラム・エウバをルーツとする
 住民が住んでいる。


 そんな感じで、マーズレイ・殺人的磁気嵐とはなんだろう?
 過去に大量にあったコロニーはどこへ消えたのか?過剰人口
 対策はどうなったのか?銀の杯条約はどうすれば成立し得るのか?
 科学技術の後退はどうすればおきるのか?などなどを個人的に
 納得の出来る形で考え出しては見たが、やはり未だに伏せられて
 いる公式情報が明かされないとなんとも分からないところである。

【関連記事】
 銀の杯条約と兵器復活について
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 http://d.hatena.ne.jp/UN64_RGB/20120702/1341230072