対Xラウンダー戦術

 XラウンダーがMS戦で優位なのは「先読み」と呼称
 される能力を持つ点が大きい。この力のおかげで敵の
 動きを把握し、先手を打てるアドバンテージを有
 している。しかしこの力は絶対的なものでもない。
 しばしば能力を持たない一般兵に撃退されている
 ケースが散見される。

 先読み能力の具体的な仕様は明かされておらず、非常
 に曖昧で不鮮明だ。だが能力を持たない者に負けている
 ケースがある以上、何かしらの攻略の糸口はあると考
 えるのが自然だ。

 「先読み」の仕様で把握すべき要素は下記になる。
  A:どのように見えるのか
  B:見える範囲と時間
  C:連続使用の可否
  D:副作用はあるか(ここでは取り扱わない)

 この問題を探る上で非常に貴重な手がかりとなるのは
 第25話「恐怖のミューセル」だろう。Xラウンダーと
 同様の力を再現できる装置ミューセルを実際に使う
 シーンがある。アセムがこれを使用したときに、どの
 ような光景が見えるかが明らかになっている。

 映像描写を見る限り、先読みの効果はアセムの視界内に
 限り反映されるようで、見える光景はあくまで彼の視点
 になり、第三者視点や敵の視界を盗み見る類ではない。
 これは上記A・Bの解となるだろう。これを補強する上では
 ルナベース攻防戦のゼハート対アビス隊の戦闘シーンが
 貴重な資料となる。ビット兵器や強力なXラウンダー能力
 を持つゼハート相手に一般兵で構成した通常部隊が健闘
 していたのは驚くべきことだ。このシーンではアビス隊
 がクレーターの影か地形を有効活用して、姿を出来る
 限り隠して交戦していた。これが以外にもゼハートの
 先読み能力を妨害していたのではないだろうか?
 姿を見せない、視界内に映らない限り先読みが出来ず。
 彼は攻めにくくなっていた。位置が不明慮なためビットの
 誘導も出来ず、うかつに上空へ飛び出す選択肢もなかった
 ように見える。

 これらを踏まえると、能力者は自身の視野で認識できた
 相手に限り対象のn秒後(秒数は固定?)の動きを把握できる。
 視野から外れた場合、認識できない場合は先読みは発動しない。


 ※対シド戦で隕石越しにビームを撃たれた際に直視せず
  回避したケースがある。優れた能力を持ち、制御装置である
  仮面を外したからこそ出来た芸当なのだろうか?
 ※認識が出来ないと書いたが、意識(注意)が向いていない
  場合も同様。
 ※このように考えるとマジ8がビッグリング戦で、物量
  攻撃に圧倒されたのは自然な流れなのかもしれない。
  人間の視界は二つの目で見れる範囲で、その視野角は
  大きいとは言えない。また同時複数、バラバラに動く
  物体を目で追えるようには出来ていないので、その
  弱点を突いた戦法ともいえる。
 ※レッシーがウルフに撃破された場合も、彼女が見たの
  は接近戦を仕掛けるGバウンサーのビジュアルのみで。
  それに合わせてカウンターを仕掛けた。
  ただここからウルフは持ち前のパイロットセンスで
  Gバウンサーに急旋回を仕掛けたことでカウンターを
  回避。(そもそも最初の一手が囮だった?) 
  この行動で彼女がGバウンサーを一瞬見失い。先読みが
  出来ない僅かな時間を作ってしまった。このためレッシー
  は次の一手を失い。巻き返す暇も無く撃破された。この
  場合、彼女にベテランパイロットのセンスがあったなら、
  視界から見失ってもしっかり対処できた可能性がある。

  もしくはカウンター攻撃で撃破出来ると慢心、過信した。
  そのため予想外となるGバウンサーの機動へ対処が遅れ。
  先読みで挽回できない状態へ持ち込まれた。

 ※レオがダブルバレットに撃たれた際も振り返った直後であり、
  視覚外からの攻撃だったように見える。

 ※ノートラム防衛戦終盤でミンクがオブライトの接近に
  対処できなかったのは、彼女の注意がレミへ向いており
  ジェノアス接近の認識が遅れたためと推測できる。
  このシーンでは先読みが自動で発動していない。
 ※いくら先読みできようとも、同時に対処できるのが
  二機程度なら個人戦には滅法強いが、それ以上とも
  なればさほど優位にはならないだろう。同時に相手を
  する数が増えるほど、優位性が失われる。
 ※視野角は馬の方が広い。
 ※先読みが出来てもそこから適切な反撃を選択し、MS
  を操縦する必要がある。またMSのレスポンスの上限に
  縛られる。

Cについてはマジシャンズ8の戦闘描写から、連続使用に
 制約があるように推測できる。ある程度は攻撃を回避して
 みせるものの、次第に被弾が増えている。
 この連続使用回数や能力発動の間隔の差が、Xラウンダー
 の能力階級を決定している一因だろう。

 またこのような制約があるとするなら、これが結果的に
 Xラウンダーの弱点として浮かび上がる可能性もある。
 「先読み」という常人にはない力を得たことで、これに
 どうしても頼る流れが生まれる。そのため常人とはMS戦の
 鍛錬、経験が変わってくる。「先読み」に頼った戦いを
 し続けているときに、ふいに力が使えない。連続使用の
 上限に達した場合。後は常人と同じく己の技量だけで
 戦うことになる。はたから見れば動きにムラが発生して
 いるはずだ。

 動きの良い時と悪いときがある。それに相手が気付けば
 あとはパターンを読んで攻め込んで行けばいいのだ。
 これも対Xラウンダー攻略の一つとなる。

 なおフリットは、元々から能力に覚醒していた訳ではない。
 ガンダム開発など彼は元々努力家の側面を持っており、
 最初期のMS戦も地道なものであった。ユリンの一件から
 Xラウンダー能力に頼る戦いは避けているようにも見える
 ので、比較的彼の戦いはムラが無く。安定した戦闘力を
 有していると推測される。

 ※回避される事を織り込み済みで発砲し、回避軌道を予測して
  そちらへ本命を撃ちこむというやり方もある。この場合は
  相手の動きの癖を読む必要がある。

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