ゼハートの最後の行動について

 最終決戦時で彼は精神的に追い詰められ、ディグマゼノン砲
 第二射の後は自らレギルスで出撃。ダークハウンドと交戦する
 もののあっさり撃墜されてしまった。

 これまでほとんど内面が描写されることの無かったゼハートは、
 なぜここで急に心情が表れ、そして死に急いだのだろうか?

 一つは自分の人生の全てを掛けた。または人生そのものであった
 エデン計画が嘘であった事。二つ目はXラウンダー能力を
 酷使しすぎた副作用。その辺りにあるのではないだろうか。

 劇中描写を見る限り、Xラウンダーであるマジシャンズ8の一部
 隊員。デシルやジラードなどはかなり気性が荒く、敵へは非常に
 感情的にぶつかっていた。(戦闘中のフラムもそうだ)

 イゼルカントの話によれば獣への退化らしいので、能力を使用する
 副作用、対価として感情を抑制する部分が欠落するか、情緒不安定
 な状態に陥るのかもしれない。感情で動くようになる感じだろうか。

 その点ではゼハートはマスク型の抑制装置を装着したおかげで副作用
 を抑えていた。その一方で度重なる自分の失態が咎められる事も無く
 逆に司令官へ抜擢されるなど不自然な人事が起きた。その後も大規模
 作戦で立て続けに失敗したにも関わらずやはり何も起きなかった。

 ノートラム制圧作戦に至っては絶対失敗しないと太鼓判を押されたのだ。
 それでも失敗したゼハートの心中は決して穏やかなものでは無かった
 だろう。異常な状態を認識しながらも、それでもエデン計画成就のため
 彼は与えられた役割を全うしようと行動した。

 そして彼の疑念を決定付ける問題が発生した。ロストロウラン攻略作戦
 で用意されたプラズマ粒子爆弾の起爆タイマーは誰がどう見ても長すぎ
 たのだ。さすがに彼もイゼルカントに尋ねるが誤魔化されてしまう。

 これ以降、彼はXラウンダー能力を酷使する。または負荷の掛かる
 ビット兵器を多用し始め、さらにガンダムレギルスを受領後は、抑制装置
 であるマスクまで外してしまった。この辺りが彼の精神的均衡を崩して
 しまう結果を導き。さらに自分の信じた道が大嘘であった事を知って
 愕然としたのではないだろうか。そして逃げることも出来ず、イゼル
 カントの敷いたレールにとって代わるだけの方法が彼には見出せなかった
 のだろう。なにせ考えるだけの余裕、時間が無かった。ルナベースが
 陥落した情勢下でセカンドムーンは地球圏へ到達し、連邦軍はこれを
 最終決戦と見て戦力を集結させつつある。物理的・精神的に追い込まれ、
 彼は冷静な判断力を欠いた状態でやむなく全権を引き継ぐ形になった
 のだろう。

【関連記事】
 フリットの最後の行動について
 http://d.hatena.ne.jp/UN64_RGB/20121118/1353245994

 ヴェイガンギア・シドの誕生理由とゼラギンスについて考える
 http://d.hatena.ne.jp/UN64_RGB/20121124/1353718823

 理想と現実の狭間に追い込まれ、振り回されたゼハート
 http://d.hatena.ne.jp/UN64_RGB/20130316/1363445525