ダナジン開発経緯を考える

【なぜあのようなデザインなんだろう】
 ガフラン→ドラド→ダナジンという
 ヴェイガンのMS開発系統は実に
 不可解だ。

 一度は捨てた翼をつけ直したどころか
 人型である事まで止めてしまった。
 性能向上を目指した結果、機体
 サイズが肥大化したのだろうか。

 けどギラーガのような人型MSも
 あるので、純粋に地球侵攻を前提
 にした局地戦向けの機体に見えてきた。
 以下はそれについて

【翼の重要性】
 可変機が多く登場したフリット編を
 思い返すと、変形しているのは長距離
 移動時(作戦空域までの移動)か戦闘時
 に白兵戦を選ばずに一撃離脱・高速戦闘
 を仕掛けた場合だ。

 翼は「長距離移動」と「機動力を求める」
 場合に多用されていた。 
 なので翼はその辺の要求を満たす装置
 と思われる。

 ドラドで翼がオミットされたのは隠密作戦
 が減り、長距離侵攻の必要性が消えたから
 と言う事になる。これにより可変機特有の
 戦法、一撃離脱・高速戦闘が不可能となっ
 たがこれは特に問題では無かったようだ。

 ヴェイガン側としては必要としてない。
 そう見ると劇中の戦法は機体の特徴をくみ
 取って現場で編み出しただけなのかも…。
 (ドラゴンマニューバとか名付けてたりして)

 話は戻り、ダナジンの場合は地球上での
 長距離侵攻を想定し、開戦初期の電撃戦
 実行できるように設計されたと考えられる。

【外観】
 一番不可解なのはあの外観だ。
 長距離侵攻用に翼の必要性はまあ分かるが
 どうしたらあの姿になるのか、どう見ても
 生産効率悪そうである。
 航続距離を延ばすだけならドラドに翼を
 付けたらいいだけの話だ。

 長時間の作戦行動に備え、パイロットが
 快適に過ごせるよう内装が凝ってるとも
 思えない。

 個人的に一番意味がありそうなのは
 「憎しみの連鎖を作る」だろうか。

 ヴェイガンの国民感情は非常に地球人を
 憎悪している。フリット編の頃から民間人
 への無差別攻撃、虐殺行為を行うほどである。
 そんな彼らがついに地球へ前面攻勢に出た。

 この機体は彼らの復讐心を満たすため、
 戦場へ出向く兵士(国民)が己の手で地球上
 の文明を破壊し地球人を殺すためにデザイン
 されているのではないだろうか?

 コロニーデストロイヤーなる大量破壊兵器
 が実在するのにあえてこれを使用せず、
 軍隊を派遣して非効率的に攻撃するのは
 火星移民末裔に復讐、逆襲を実感させる
 事が裏事情にある。地球を取り返す偉大なる
 使命を遂行していること、自分達を
 火星へ見捨てた地球種へ復讐している事。

 そのためには”効率的では駄目”なのだ。
 ボタン一つで遥か遠方の都市が消し飛ぶ
 のでは民衆にリアリティが湧かない。

 機動兵器を駆り、地球種の街に降り立って
 その文化を踏みにじり、逃げ惑う住民を
 攻撃する事に意義がある。だから中途半端
 に口のビーム砲はバルカンタイプ。
 一般兵にとってこれは害虫駆除のような
 ものなのだ。

 使い勝手の悪い武器にパイロットは苛立つ
 だろうが、それすら地球種への攻撃理由に
 転嫁される。

【もし秘められた意図があれば 】
 この非効率的な行為。これが継続できるなら
 一般市民への虐殺行為に対する心理的抵抗
 を取り払えている事になる。ヴェイガン兵は
 地球種への差別感情を助長し、自らは上位種
 としての慢心することになる。

 さらにこれは「後に引き返せない」効果も生む。
 民族浄化に手を貸したというのは足枷となる。
 例えイゼルカントが死去しても戦争は確実に
 継続するだろう。

 地球連邦側から見ても、このような殺戮行為を
 仕掛けるヴェイガンに対し徹底抗戦する気運が
 高まる。異形の機動兵器を駆る火星人が私達を
 殺しにやってきた。と暗示する外観。
 戦争はより確実にどちらかが滅ぶまで
 突き進む事になる。

 これは劇中のフリットやオリバーノーツのMS
 パイロットのセリフからも伺える。
 これがイゼルカントによる反ヴェイガン感情を
 高めるための策略なら、フリットは見事に
 はまっている事になるし、彼は戦争そのものを
 コントロールしようとも見える…。

【追記:ゼハートは現状をどう見ているのか】
 アセム編の発言からヴェイガンが一般市民への
 無差別攻撃を行っている事を知らない風に見える。
 幼少期よりXラウンダーとして恵まれた環境で
 育ったのか地球人への反感も見えない。

 今回オリバーノーツで目の当たりにした
 ヴェイガンの実態に対し、どう考えている
 のか気になる

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