もしAGEが劇中劇だとすれば

 禁じ手だが、おおよその問題にケリがつく
 だろう。視聴者が疑問に思う謎の描写、
 唐突な台詞、ご都合主義に見える展開は
 全て大人の事情だった。

 AGEは終戦50周年を記念して制作された
 民放のアニメーション作品であり、地球
 と火星の100年にも及ぶ大戦を描写する
 本作品は諸般の事情から事実とは多少違う
 内容が含まれている。

 一世紀という時間を描写するに辺り、本編
 全般に渡って登場する主人公として連邦軍
 に多大な影響を与えたアスノ家をモデルに
 キャラクターを用意、彼の人生を追想する
 形で本作品は話が進む。

 歴史・軍事方面の考証は難航を極め、行き
 詰った部分に関しては、証言などを元に
 制作スタッフ側で独自解釈を行っている。
 これは長きに渡る戦乱で記録や資料が焼失
 し、正確な情報が入手できなかったこと。
 軍事関連も戦後50年を経て今もなお機密
 指定扱いのものが多く、独自解釈で用意した
 モノも映像公開時に軍の検閲をパスする
 必要性から意図的に不正確な描写となった。
 さらに番組スタッフの多くが戦争を知らない
 戦後世代であるため、節々にジェネレーション
 ギャップを感じさせる描写が散見する結果
 となった。
 (アニメとゲームでウェアの登場タイミングや使用
 時期が違うのはこれが理由)

 AGEビルダーやインゴットの概観、詳細な説明
 がなされないのはそんなところだ。
 MSの肢体を短時間で換装するウェアシステムも
 同様であり、そのジョイント構造はカメラでの
 撮影が禁止されている重要な軍事機密。
 (現実でも最新鋭戦闘機のノズルや潜水艦の
  スクリューは非公開だったりする)

 本編は娯楽作品としての演出要素が加味されており、
 その内容からファーデーン観光局は「一部に誤解を
 招く描写がある」とのコメントを発表したり、退役
 軍人協会は「戦場で戦った一般将兵を疎かにしている」
 と抗議している。

 ガンダムの世代交代で大きなイベントが起きず、いつ
 の間にか新型機が用意され、あっさり乗り換える理由は
 番組の有力なスポンサーである連邦軍へ配慮した結果だ。
 軍のフラグシップ機であるガンダムをアニメとは言え、
 派手に大破させると良い顔をしないので、下手に損傷
 させることも出来ない。
 (AGE3は連邦軍とは無関係なので辛うじて許可が下りた)

 …という逆転の発想。物は言い様である。

【関連記事】
 アニメと外伝の矛盾から探るループ世界の可能性
 http://d.hatena.ne.jp/UN64_RGB/20120902/1346578482