三世代編におけるそれぞれの立ち位置

 フリット、アセム、キオが揃う三世代編は
 それぞれ戦争に対する姿勢が違う。
 しかし原点は誰かを守ることにある。

 フリットは蝙蝠退治戦役における決意や、アセム
 編でトルディアがヴェイガンに襲撃された事を
 報じるニュースを見て、アセムに同じような思いを
 してほしくないと悔やんでいる。一方で戦うしかない
 とも考え、ガンダムを彼に託していた。

 アセムも人々を守るために戦い、最後の任務に赴く
 前には、キオに平和な世界を見せたいと願っていた。
 そのキオもまた自身を取り巻く環境から、否応無く戦い
 へ身を投じることになる。

 一方で戦争の相手であるヴェイガンに対する評価は
 三者三様であった。フリット接触した相手は他者の
 命を弄び、殺戮を繰り返す狂人達であった。
 敵の司令官ギーラはイゼルカントを崇拝するテロリスト
 そのものであり、対話が出来ないことを痛感していた。

 アセムが対峙した敵はゼハートであり、彼自身の甘さ
 から対話の機会を得て、敵側を知る事になる。
 そしてキオは捕虜となり、イゼルカントの思惑から
 ヴェイガンの内情と、首領に騙される人々の存在を知る
 ことになる。

 そのような結果が積み重なり、フリット以外の二人は
 純粋に敵を滅ぼす以外の道を模索する。
 一方でフリットは過去に囚われていた。かつてファーデーン
 でドンボヤージからそう言われたことがあったが、その時は
 グルーデックが即座に否定した。しかしその後は彼自身が
 その道へ引き込んだ。

 今やフリットは五十年ほど前、ファーデーンでエウバとザラム
 が延々と内紛を繰り返し、互いに睨み合っていた当事者と同じ
 ようになっていた。止める側にいたフリットが今や逆である。
 かつての彼のようにキオは疑問を投げかけるが、年を重ねた
 フリットはそれを否定する。アセムが語ったように、引き返せ
 ないところへ行き着いてしまったのだろう。

 彼自身がかつての旧国家派閥と同じように、戦いに明け暮れて
 いる事に気付く日はくるのだろうか?
 …と言うわけで第40話からの三世代編はファーデーン編の
 「紛争を繰り返す旧国家派閥とそれを仲裁するフリット」の
 構図に近いと思う。歴史は繰り返すというところだろう。

 この場合、旧国家派閥が地球連邦とヴェイガン。仲裁に入る
 フリットのポジションにキオとアセムが来ることになる。
 ある意味ぐるっと一周したことになるのか。

 第10話激戦の日で、特攻するボヤージはフリットに何かを
 語った。これは視聴者には分からなかったが、いまそれが
 明かされることはあるのだろうか?

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